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開放型ヘッドホンとの出会いやスピーカーとの違いについて【コラム】

机の上にゼンハイザーHD650やUSB DACなどが置かれた画像 開放型ヘッドホンについて

開放型ヘッドホンとの出会い

私は子供のころからオーディオ機器と音楽が大好きでした。

はじめは、幼稚園のころに、カセットテープレコーダー(ナショナル|スナッピー)を親戚のおじさんからもらったところから始まり、

ラジカセ、モジュラーステレオ、国産単品コンポ、ピュアオーディオと、暮らしの中に常にオーディオ機器がある生活を送ってきました。

ただ、大人になってしばらくして仕事が忙しくなったころ、生活環境の変化でスピーカーから大きめな音がまったく出せなくなり、オーディオ趣味そのものをやめざるをえなくなってしまいます。

それからは、パソコンにつないだマイク内蔵の小さなオンイヤーの密閉型ヘッドホンだけが音楽を聴くアイテムになりました。

あるとき、そういえば昔から、スタックスの四角いコンデンサー型のヘッドホンにあこがれていたことを思い出し、ちゃんとしたヘッドホンを聞いてみようかと思い、視聴コーナーのある電気店でいろいろと聞いてみたところ、改めて、ヘッドホンの音の良さに気が付きます。

もちろん、それまでも、有線やワイヤレスのイヤホン、小型のヘッドホンなどは日常的に使っていて、特に有線イヤホンは、それなりに音質にこだわったものを買ったりはしていたのですが、あくまでガジェットとして選んでいたため、音質を追求していたわけではありませんでした。

それが、ちゃんとしたオーバーイヤーのヘッドホンをじっくりと聞いてみると、スピーカーに近いような音場の感じ方や定位の良さ、音の消え際の美しさを感じ、中でも、開放型のヘッドホンの音がとても気に入り、その場でとりあえずコスパのいい「ゼンハイザーHD518」を購入しました。

その後はすっかりHD518の音の良さが気に入ってしまい、それまでなんとなく見ていた、ユーチューブの音楽の動画なども、ピュアオーディオを楽しんでいた時のような気持ちで楽しめるようになりました。

さらなる高音質を求めて

コンクリートの床の上に置かれたゼンハイザーHD598

しばらくはHD518の音質や使い心地に満足していたのですが、もう少しグレードを上げたらどんな音がするのだろうという欲求が出てきてしまい、とりあえず、同じメーカーのラインナップで評判の良かった「ゼンハイザーHD598」を購入しました。

その色合いから「プリン」というニックネームがついたHD598を使ってみると、明らかにHD518とは違ったクオリティの高さを感じました。

HD518では全体の音がまとまって聞こえているように感じていたところが、HD598では、それぞれの音域で、音がきれいに分離しながらバラバラにならない、絶妙な音作りのうまさと定位感の良さ、解像度の高さを感じます。

特にドンシャリではないのにきれいに伸びる高域とか、ゼンハイザーらしい中域から中低域の密度の濃い滑らかな表現や、低域の嫌みのない量感と温かさなどが本当に素晴らしく、完全に開放型ヘッドホンの奥深い表現にはまりました。

それと同時に考えたのが、これなら周りの環境に左右されずに、ピュアオーディオを楽しんでいたころと同じような感覚で音楽を楽しめるんじゃないかと思ったのです。

USB DACの存在を知る

iBasso DC03と他のUSB DACが布の上に置かれた画像

開放型ヘッドホンのすばらしさに気が付き、いろいろと楽しみながら周辺のことについて調べていると、どうも、ヘッドホンアンプを使うとさらなる高音質化ができるらしいという情報を見つけます。

しかも、昔からあるシンプルなヘッドホンアンプではなく、PCやスマートフォンなどとUSB接続でつなぎ、DACを内蔵する、いわゆる「USB DAC」と言われる製品を使うのが主流になっていることを知ります。

つまり、PCやスマホのノイズが多く品質のあまりよくないDACを通さずに、PCやスマホをトランスポートとして使い、直接USB DACでデジアナ変換してしまうやり方です。

確かにそのほうが音質的には有利だと思うし、USB DACの部分での音作りも可能になると思うので、理にかなったやり方だと思いました。

USB DACには様々なタイプの製品があり、単体のAC電源で駆動する据え置き型の製品から、バッテリーを内蔵してスマホなどと一緒に持ち運べるポータブルタイプや、バスパワー駆動で動く変換アダプター並みの超小型の製品まで、さまざまな形態の製品があることを知ります。

まずは、手軽なバスパワー駆動が可能なドングルDACと言われる変換アダプター型の製品をいくつか使ってみたところ、音の輪郭がはっきりとわかるようになり、躍動感や音のクオリティが上がるのを感じました。

その後は、据え置き型の電源を別にとるタイプの製品を試し、音のクオリティが一段上がる感覚を体験して、ピュアオーディオと同じく、ヘッドホンを使ったPCオーディオでも電源周りが大切なことが分かりました。

開放型ヘッドホンとUSB DACの組み合わせこそ、自分にとっての身の丈のピュアオーディオシステムなんだと気がつきました!

好みの音は柔らかい音

ハーベスHL-P3の上にお皿にのせたチョコレートが置いてある画像

ヘッドホンに限った話ではありませんが、私はもともと、スピーカーでピュアオーディオを楽しんでいたころから、ワイドレンジで解像度の高いスピード感の速い音よりも、中域の密度が高めで、かまぼこ型の周波数特性を持った柔らかい音が好きでした。

様々な音楽を聞きますが、最近、特によく聞く音楽がシティポップとクラシック(特に室内楽などが好き)なので、どうしてもボーカルや弦楽器などの帯域にエネルギーが集中している音が好きで、ピュアオーディオでもそのような音がする製品を選んで使っていました。

具体的には、アメリカ製や日本製の製品に多い、解像度が高くワイドレンジの機種ではなく、イギリス製の製品を中心にした、マイルドな音作りの製品が特に好きでした。

ネイムオーディオ、クオード、オーラ、ミュージカルフィディリティ、フィリップス、ロジャース、スペンドール、ハーベス、KEF、タンノイなどなど…デザインや使用感なども含めて本当に魅力的な製品が多く、音質だけではない、シンプルで本質だけで勝負するような潔さをそれらの製品に感じていました。

当時使っていた最終的なシステムは、CDプレーヤーにフィリップスのスイングアームCDM-1を搭載した「マランツCD-34」、アンプは薄型でシンプル、上部の全面がヒートシンクの純A級アンプ「ミュージカルフィディリティA1」、スピーカーはBBCモニターで有名な「ロジャースLS3/5A」に落ち着きました。

これらのシステムの奏でる音質は、音楽を聞く喜びをダイレクトに感じられるようなやさしくきれいな音で、いつまでも聞いていたくなるような柔らかさを感じ、オーディオの存在が消えて、音楽を純粋に楽しめるものでした。

ゼンハイザーHD650との出会い

フローリングの床の上に置かれたゼンハイザーHD650

開放型ヘッドホンの魅力に気が付いてから、いくつかの開放型ヘッドホンを購入してみては、それぞれのメーカーや機種ごとにそれぞれ違った音作りがあり、装着感なども含めて、十人十色の魅力があることを知りました。

中でも、個人的に決定的だったのが「ゼンハイザーHD650」との出会いです。

今までに、HD650以上の価格帯のヘッドホンもいくつか試しましたが、私にはやっぱりHD650が一番合っているようです。

前述したとおり、私は高解像度でワイドレンジのモデルより、マイルドで柔らかめの音が好きなので、初めてHD650を視聴した瞬間、その音がすっかり気に入ってしまいました。

ゼンハイザーHD650の音質を一言で言うなら、「必要十分な解像度を持ちながら分析的な音にならず、帯域のバランスも良く、高音がきれいに伸びているのに耳に刺さらない優しい音」という感じでしょうか。

とにかく滑らかで嫌みのない音で、スピーカーの音を聞いているような自然な音場の広がりや定位感の良さを感じる不思議なヘッドホンで、ロングセラーなのもうなずけます。

このヘッドホンを初めて聞いた瞬間、長年探していた音に巡り合ったような感覚がありました。それ以来一番のお気に入りで、どれか一つだけヘッドホンを選べと言われたら、間違いなくこれを選ぶと思います。

PCやスマホをトランスポートにして、音源はサブスクを使い、開放型ヘッドホンとUSB DACの組み合わせによる「ミニマムでパーソナルな小さなピュアオーディオシステム」という新しいオーディオの楽しみ方に、HD650の音のキャラクターが加わり、本当に満足できる自分だけのオーディオが完成したと思いました。

開放型ヘッドホンがある暮らし

テーブルの上に置かれたゼンハイザーHD599SE

スマホでサブスクの音源を完全ワイヤレスイヤホンを使って聞くのが一般的になった感がありますが、自宅でゆっくりと音楽を聴きたいときには、イヤホンではなくヘッドホン、できれば開放型のヘッドホンを使ってみることをおすすめします。

もちろん、最近のワイヤレスイヤホンは、コーデックの進化などによる高音質化や、ノイズキャンセリングの性能なども格段に上がり、本当に驚くような進化を遂げているのですが、自宅での使用に限れば、装着感がよく、長時間のリスニングでも疲れにくいオーバーイヤーヘッドホンに分があるといえます。

オーディオに興味があっても、なかなかスピーカーを使って大きめな音を出しずらい生活環境のため、オーディオ趣味をあきらめている方も多いと思います。

その点で、この開放型ヘッドホンを中心にしたシステムでは、周りへの配慮も最低限で済み、細かなセッティングなどもいらないため、だれにでも簡単にできる楽しみ方だと思います。

さらに、ピュアオーディオに比べれば、圧倒的にコスパもよく、場所も取らず、時間も気にせずに気楽に楽しめるのもヘッドホンオーディオの魅力です。

そして、よくできた開放型ヘッドホンとUSB DACの組み合わせでは、スピーカーを使ったシステムにも負けない、もしかしたらそれ以上のオーディオ的な感動が味わえると思います。

ぜひ、気軽で楽しい、この奥深いオーディオの世界に触れてみてください!